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「地球交響曲第三番、魂の旅」を読んで(その2)

前回に続いて、「地球交響曲第三番、魂の旅」という本の話をしたいと思います。

映画、「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」の龍村監督は、星野道夫さんを地球交響曲第三番の主役と決めて、彼に逢う為にアラスカに旅立とうとするそのタイミングで、星野さんが熊に襲われて死んだことを知り絶望します。

もう映画を撮ることはできないのかと、しばらく考え抜いた末に、龍村さんは星野さんを主役に据えたままで映画を撮り続ける決意をします。

そして、星野さんの居ないアラスカに飛び、星野さんの友人を訪ねながら、映画の撮影に入ります。
その過程で、星野さんの友人から紹介される形でハワイのナイノア・トンプソンさんを取材する訳ですが、知らず知らずの内に自分が壮大なテーマを追いかけていることに気がつきます。

それは太古の昔、数千年以上前から地球に住む人たちは、海流を使って自由に海を航海していたということ、そしてその記憶を呼び覚ますことに生涯を捧げている人間が、今、地球のあちこちに現れているということです。

星野道夫さんとナイノアトンプソンさんは同い年です。
二人は出逢ったことはありませんが、同じ時代に生きながら二人が同時に、同じ可能性、つまり「太古の昔から人は自由に地球のあちこちを行き来していた」という可能性に思いを馳せていたこと、そしてその二人を「地球交響曲」という映画を通してつなげることになった龍村さんの存在に、地球の大きな意思のようなものを感じてしまいます。

ハワイータヒチの旅を無事に終えた後、2007年にナイノアさんは、ハワイから日本まで南太平洋経由での旅を成功させます。

僕は、以前に鎌倉の七里ケ浜沖に停泊していた時、タイミング良くホクレア号に乗船する機会を頂きました。

その当時は、ホクレア号の旅が意味することをそこまで理解できておらず、遠い海を越えてすごい冒険をしてきたんだなということくらいにしか思っていませんでしたが、あの時ホクレア号に出逢うことができたご縁に、今あらためて感謝です。

僕は今、小樽市の忍路(おしょろ)というところに住んでいます。
忍路には、たくさんのストーンサークルがあります。
ストーンサークルは縄文時代以前に作られたものなので、この土地には随分前から人が住んでいたことになります。
そして、すぐ近くには「フゴッペ」という名の洞窟があるのですが、その洞窟の中には壁画があります。壁画の中には、船に乗った人の絵があり、その絵は奇しくも、アラスカの洞窟に書かれている絵とそっくりだそうです。

龍村仁監督の映画を観て、その映画を撮る過程をつづった「地球交響曲第三番、魂の旅」を読んで、僕自身の魂が遠い昔に旅をしているような気分になりました。

そして、この地球交響曲に込められているメッセージが心に染みてきます。
それは、地球そのものが一つの生命体で、その地球上に暮らす私たちの魂も皆、つながっている。つまり、貴方と私は別々の人間で、一見何も関わりがないように見えるが、実は一つの生命体なんだということ。

これは、体で理解することはとても難しいことですが、このことを本当に理解できた時には、地球上からは「環境問題」なんて言葉は消え失せ、地球上に暮らす皆が、自然と共に楽しく、自由に暮らしているんだと思います。

いわゆる先住民と言われる人たちは、地球が一つの大きな生命体で、そこに暮らす皆の魂は一つにつながっているということを信じている人たちで、今の時代を生き残るためには、その感覚を地球の皆が身に付けることがとても大事なのではないかということを感じました。

執筆者紹介
中渓宏一(Seedman)

【プロフィール】
1971年シアトル生まれ。大手商社勤務などを経て2000年9月、サラリーマンを辞めて世界放浪の旅に。2003年、南アフリカで地球を歩いて木を植える男、アースウォーカーに出逢い、その後1年間ジンバブエ、ザンビアを共に歩き、木を植えた。2004年よりは日本中を歩いて木を植えている。

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北アルプス蝶が岳での一枚


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