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種の大事さを知る旅。南アフリカラスラーズバレーにて。その2

南アフリカのラスラーズバレーという処で初めて耳にした「パーマカルチャー」という言葉。言葉自体の意味はパーマネント(permanent:永久の)とアグリカルチャー(agriculture:農業)の造語で、カルチャー (culture:文化)の意味も含むそうです。単に環境に配慮しただけの生活ではなく、持続可能な無農薬・有機農業を基本とし、水・土・植物・畜産・水産・建造 物・人々・経済、都市と農村、これら全てを考慮し、組み合わせて地域全体を設計するところに特色があるそうです。

ラスラーズバレーの具体例を言うと、畑の横には豚を柵で囲まれた結構大きい敷地内に飼育していて、この豚はレストランの残飯や、雑草を食べて、糞をして、歩き回って土地を肥やしてくれます。畑には同じ種類の野菜が並ぶのでは無く、葱、豆、トマト、苺、キャベツ、ホウレン草等が入り混じって育てられていて、草花も畑に植えられています。色々な種類の野菜、果物、草花が共生する課程で土に栄養分を返すから、土の栄養分のバランスが取れていて、殆ど肥料を与えなくても、永続的に野菜が採れる畑が出来ます。

そこで取れた美味しい野菜を、直ぐ隣のレストランで出します。余ったものは豚の飼料に、という具合に小さな、それでいて持続可能な循環サイクルが出来上がっています。これを「パーマカルチャー」と言うそうです。

ラスラーズバレーのパーマカルチャーを運営しているのは、Food & Trees for Africa(食料と森をアフリカに) というNGOで、都会に住む人達を集めて、パーマカルチャーのワークショップ(体験型の勉強会)もしていました。

ラスラーズバレーのボス、フリックは僕達3人の日本人を快く仲間として受け入れてくれて、僕達が畑の雑草取りをしていると、そこに来て、「ほら、葱をトマトやキャベツの横に植えておくと、葱が虫除けの役割をしてくれるんだよ。」等と豆知識を教えてくれました。

そしてある日、彼は言いました。「パーマカルチャーの基礎を考え出したのは、日本人なんだよ。フクオカさんという人だ。彼は、”One Straw Revolution”(わら一本の革命)という本を書いているんだ。」と教えてくれました。

彼が言う、“フクオカさん”とは、福岡正信さんのことです。不耕起(耕さない)、無肥料、無農薬、無除草を特徴とする自然農法の提唱者で、「わら一本の革命」は1983年に日本で出版された後、20カ国以上で翻訳、出版されたそうです。

この本が、西洋のパーマカルチャーブームの基礎を創ったのでは無いでしょうか。だから、「パーマカルチャー」は、日本人にとっては「自然農法」の逆輸入と言えるかも知れません。

フリックにそんなことを教えてもらった当時、僕は福岡さんのことは知りませんでした。

そして、Food & Trees for Africaのスタッフから、ある日言われました。「フクオカさんが発明した粘土団子って知っているか?」と。
長くなりましたが、いよいよ種の話、本番です。続きは次回にしますね。

執筆者紹介
中渓宏一(Seedman)

【プロフィール】
1971年シアトル生まれ。大手商社勤務などを経て2000年9月、サラリーマンを辞めて世界放浪の旅に。2003年、南アフリカで地球を歩いて木を植える男、アースウォーカーに出逢い、その後1年間ジンバブエ、ザンビアを共に歩き、木を植えた。2004年よりは日本中を歩いて木を植えている。

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ラスラーズバレーのレストラン。このレストランの前にパーマカルチャーの畑が広がり、その横に豚が平飼いされています。

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