eco読み物

BDF: 使用済みのてんぷら油が燃料になる(その1)

前回に引き続き、バイオディーゼル燃料(BDF)のお話をさせていただこうと思います。

僕は今年、半年間の日本縦断の旅をしながら、伴走車の燃料となるBDFを探していました。
市町村が率先して一般家庭や、学校給食などから出る使用済みのてんぷら油を回収、精製して行政で使用する車の燃料として使っている所も結構ありました。

山形県金山町にある、めばえ幼稚園では園で精製機械を購入して、町内のホテルやレストラン、給食センターなどから使用済みのてんぷら油を1リットル1円ほどで買い取ったり、園児の家庭から出る油を回収したりして、BDFに精製。園で使っているマイクロバスをBDFで走らせていました。

あとは、リサイクル業社が精製機械を持っていたり、建設会社が持っていたり、地域によってさまざまです。
でも、一般向けに販売をしている地域は、まだまだ少ないようです。

僕たちが旅で使ったBDFの燃料のほとんどは、そんな風にして各地でBDFを活用している方たちから無償で提供して頂きました。本当にありがたいことです。

そもそも今回、なぜ伴走車の燃料にBDFを使ったかというと、この車を無償で貸して下さった会社が、BDFの販売事業をやっている会社だったからです。
その会社は、今年バイオディーゼル事業共同組合を立ち上げました。
つまり全国各地でBDF事業をしている人たちの組合です。

現在、日本国内で消費される食用油は年間約250万トンあるそうです。
その中で使用済み天ぷら油の年間発生量は、推定約45万トンもあり、そのうち回収され、リサイクルされているのは推定約25万トンと言われています。
ということは全国的にもっと回収が進めば、あと20万トンはBDFが作れるわけです。

20万トン・・・なかなかピンとくるサイズではありませんが、相当な量だということはわかります。
なので、バイオディーゼル事業共同組合が活性化して、日本中で使用済みのてんぷら油の回収がもっと進んで欲しいと思います。

僕は今年の夏、日本縦断の途中に松坂市にある、その会社に立ち寄りBDF用の使用済みてんぷら油の回収作業のお手伝いをさせていただきました。

20リットル缶に入った使用済みてんぷら油を1つずつトラックの荷台に積み込み、会社に戻り、ドラム缶に詰め直します。BDF精製の数あるプロセスのほんの一部のお手伝いでしたが、汗だくになりました。
決して楽な作業ではありませんが、家庭から出る使用済みのてんぷら油がゴミにならずに、燃料になるお手伝いをしていると考えると、楽しく作業ができました。

BDFが日本中にもっと広がる為には、規制の緩和など色々な作業が必要なようですが、今回の旅でBDFを実際に使ってみて、もっともっと広まって欲しいと感じました。

なんだって、排ガスの匂いが、てんぷらを揚げたような匂いがするなんて、素敵だと思いませんか?

僕はこれからもBDFについてもっと勉強して行きます。

執筆者紹介
中渓宏一(Seedman)

【プロフィール】
1971年シアトル生まれ。大手商社勤務などを経て2000年9月、サラリーマンを辞めて世界放浪の旅に。2003年、南アフリカで地球を歩いて木を植える男、アースウォーカーに出逢い、その後1年間ジンバブエ、ザンビアを共に歩き、木を植えた。2004年よりは日本中を歩いて木を植えている。

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旅の途中、秋田県でBDFを分けて頂いている所。
燃料タンク以外にも、20リットルのポリタンクを7つ、予備燃料として積んでいました。


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