eco読み物

「油と水と種」の話 その1

以前にも、このコラムで「油と種と水」が大事だということを書きましたが今回は、もう一度そのことについて書いてみたいと思います。

僕がこの「油、種、水」が大事なのだと知るきっかけになったのは、南アフリカのラスラーズバレーという場所にあります。
この場所を世界放浪の旅の最中だった2002年の暮れに訪れて、それから3ヶ月ほど滞在しました。

僕は、そのラスラーズバレーで畑仕事を手伝っていました。
畑ではパーマカルチャーという農法を実践しており、僕はその時はじめてパーマカルチャーという言葉を知りました。
パーマネント(永久的に)にカルチャー(耕す)という農法。
現在の一般的な少品種大量生産とはちがって、多品種少量生産を基本としていて、化学肥料は使わず、畑に育つ草花を肥料として使う農法です。

野菜は成長する段階で土中の栄養分を吸収して育つ訳ですが、同じ種類の野菜ばかりを育てると、土中の同じ成分だけがどんどん吸収されてしまいます。
その結果、同じ種類の作物を大量に作り続けると土地がどんどん痩せていきます。
その足りなくなった栄養分を補うために化学肥料を使う訳です。それに対してパーマカルチャーはいろんな種類の野菜を一緒に育てることで、土中の栄養分の吸収に偏りが無く、化学肥料を使わなくても土の中の栄養分が絶えることなく、永続的に野菜を収穫し続けることができるというものです。

野菜の収穫量は少品種大量生産に比べると少ないですが、パーマネント(永続的)に収穫できるというのが一番の特徴です。

農業をいっさいやったことのない僕は、ラスラーズバレーの畑作りをお手伝いさせてもらいながら、そんな知識のいったんを体得する機会をいただきました。

そして、このパーマカルチャーの基礎となるのが、ある日本人男性が提唱する自然農法だと、ラスラーズバレーのオーナーから教えて頂きました。

彼の提唱する自然農法は、耕さない農法。色んな種類の野菜、果物の種をただただまくだけという非常にシンプルなもの。彼は、ただ種をまく農法を実践して直播(ちょくはん)の米作り、野菜作りに成功しました。

南アフリカのラスラーズバレーという、日本とは地球の反対側の場所で、僕は期せずして日本人の実践する「自然農法」というものに出逢いました。

そして、南アフリカから帰国後、僕はさっそく、この自然農法のことが気になり、彼のお弟子さんの講演会を聞きに行きました。

そのお弟子さんは、現在も直播による耕さない自然農法を実践していらっしゃいますが、その方のお話の中で一番驚いたのが「21世紀、経済主要3品目は油と種と水なんだ。」というお話でした。

経済主要3品目。つまり「油と種と水」が経済を引っ張って行くということです。

それは言い換えれば、「油と種と水」はお金で買わないと手に入らない世界。
それはできれば避けたい世界だと僕は思います。なぜなら、「油と種と水」は僕たち人間が生きるために無くてはならない生命線だからです。

この続きは次回にしたいと思います。

執筆者紹介
中渓宏一(Seedman)

【プロフィール】
1971年シアトル生まれ。大手商社勤務などを経て2000年9月、サラリーマンを辞めて世界放浪の旅に。2003年、南アフリカで地球を歩いて木を植える男、アースウォーカーに出逢い、その後1年間ジンバブエ、ザンビアを共に歩き、木を植えた。2004年よりは日本中を歩いて木を植えている。

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油、水、種

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