eco読み物

100年、200年持つ家造り

「セレブレーションアースウォーク」の旅の途中、北海道厚沢部町(あっさぶちょう)のある男性にお世話になりました。その男性は国産材を中心とした広葉樹(こうようじゅ)の木材をたくさん扱っておられ、自宅はその国産の広葉樹をふんだんに使った素晴らしい家でした。まさに100年、200年持つ家です。

どうして今は、広葉樹よりは針葉樹(しんようじゅ)、無垢材(むくざい)よりは集成材(しゅうせいざい)なのかという点をご案内します。
まず、針葉樹はまっすぐに、比較的早くのびてくれるので建築材として扱いやすいのが特長です。一方で広葉樹は、まっすぐにはのびずに四方に広がり、成長にも時間がかかるため比較的扱いづらいものになります。そして扱いやすい針葉樹よりもさらに、確実に同じ素材として使えるのが、薄い針葉樹の板を張り合わせた集成材です。
今の建築業界では、そういう理由で、品質にくるいの少ない集成材が一番重宝されるそうです。

では、広葉樹の良い点は何でしょうか?
そのひとつが耐久性にあるようです。じっくりと時間をかけて育った広葉樹の木材は、針葉樹よりも強度もあり、寿命が長いものが多いようです。それから、基礎には湿気に強い栗を使ったり、床には色の優しいカエデを使ったりと、木の特製を生かして家を造る楽しみがあるとうことも分かりました。

そして、広葉樹だけでなく、地元に自然に生えている材を使うことも大事だということも分かりました。ある男性のご自宅の近くの森を歩いている時に、「ヒノキアスナロ」という木がありました。別名ヒバの木です。厚沢部町のヒバの木は、根から幹にかけて大きく曲がっています。これは、幼木(ようぼく)の時に雪に押し倒されたものが元に戻るためにこんな形状になるそうです。

一般に使われるまっすぐに伸びた杉やヒノキと違って、一見とても扱いにくそうですが、この曲がった材をうまく梁(はり)に使うと、通常のまっすぐの木材の何倍もの強度が出るそうです。ただ、この曲がった木材を使うには、大工さんの技術が必要です。
そして今、そんな曲がった木材を上手く使える大工さんの数がどんどん減っているそうです。

「その土地に自然に生えている木を生かして家を造れば、輸入材や、他の地域で育った杉やカラマツを使って家を造るよりも半分位の木材で家を造れるんだよ。」とその男性が教えてくれました。何事も効率が求められる今の世の中で、じっくりと、その土地で育った、広葉樹や根曲がりの針葉樹などを使って家を造るのはとっても贅沢だし、技術がいることですが、そうすることで、100年、200年持つ家作りができ、それが森を守ることにも繋がるんだということがわかりました。

その男性のお宅で、ミズナラの木を1本植えました。

このミズナラが100年、200年経って、ずっしりと大きくなるころ、立派な建築材として、100年、200年持つ家造りに役立つはずです。

この旅で、もっともっと、木について学んで行きたいと思います。

執筆者紹介
中渓宏一(Seedman)

【プロフィール】
1971年シアトル生まれ。大手商社勤務などを経て2000年9月、サラリーマンを辞めて世界放浪の旅に。2003年、南アフリカで地球を歩いて木を植える男、アースウォーカーに出逢い、その後1年間ジンバブエ、ザンビアを共に歩き、木を植えた。2004年よりは日本中を歩いて木を植えている。

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厚沢部町にて

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