eco読み物

『選択可能な未来』を読んで(その2)

前回に引き続き、高木義之さんの著書、『選択可能な未来』から、「これは」と思った内容を紹介したいと思います。

(1)地球温暖化について。(前回分)

(2)生物種の絶滅のスピードについて

一万年前   百年で一種
千年前      十年で一種
百年前      一年で一種
現在         一日で百種

となっています。

こうやって並べてみると、生物種の絶滅のスピードが凄い勢いで加速していることが分かります。

(3)人口増大

西暦           人口          百年あたりの増加率
元年・・・・・・・1億人・・・・・・2%
1000年・・・・・2億人・・・・・・7%
1500年・・・・・5億人・・・・・・1.2倍
1800年・・・・・10億人・・・・・1.3倍
1900年・・・・・15億人・・・・・1.5倍
2000年・・・・・60億人・・・・・4倍

人口の増加率も明らかに加速していますね。これらの数値や知識はみなさんどこかで見たり聞いたりすることがあるかと思いますが、全て(地球温暖化、生物種の絶滅、人口増大)を並べてみると、改めてその関連性に気が付きます。

人口が増えるから生物種が絶滅して、人口が増えるから二酸化炭素濃度も増える。やっぱり地球の環境変化の根本原因は人間にあると考えられます。

かなり危機的状況にある地球。でも、この本のタイトルにあるとおり、未来は選択可能だと思います。人間が作り出した変化であれば、人間の力でまた元に戻せるはずと私は考えています。

大事なのは先ず正しい現状を知ること。そして次は現状の解決策に向かって具体的に動く事。

ではどうやって具体的に動くのか。この本では環境と経済が調和した「グリーン経済」というものが紹介されています。

普段の生活で使っているもので環境負荷の高いもの程、値段が高くなる仕組みができれば良いわけです。

つまり、北海道産の鮭とノルウェー産の鮭を比べた時には輸送時に大量の石油を使う分、ノルウェー産の鮭の方が地球資源を多く使うわけですから、従来通りの値段に「環境保全コスト」(と本の中では便宜的に名前がついています。)が上乗せされれば良いわけです。

この環境保全コストとは、例えば木材など再生可能な資源に対しては低く、石油、石炭、天然ガスなどの再生不可能な資源に対しては高く設定されます。そうすると、自ずと輸入品や、国産品でも遠方から来たものは値段が高くなります。

この環境保全コストが実現すれば、みんな進んで地元の安くて新鮮で美味しい食材を積極的に買うようになり、それが自給率の回復にも繋がるのだと思います。

今、日本の穀物自給率は3割を切っています。先進国でここまで低い自給率の国はありません。自給率の回復こそが、僕たちが選択出来る未来の一つではないでしょうか?

僕たちは今、孫子(まごこ)の代まで地球と共存するのか、しないのか、選択を迫られている大事な時代を生きているんだと思います。正直、高木さんのお話を聞き、この本を読むことで地球の本当の現状を知る事はなかなか辛いことでもありましたが、木を植える活動をライフワークとする自分にとって、とても大事な情報を頂くことができました。

みなさんも機会があれば、ぜひこの本を手に取ってみて下さい。

執筆者紹介
中渓宏一(Seedman)

【プロフィール】
1971年シアトル生まれ。大手商社勤務などを経て2000年9月、サラリーマンを辞めて世界放浪の旅に。2003年、南アフリカで地球を歩いて木を植える男、アースウォーカーに出逢い、その後1年間ジンバブエ、ザンビアを共に歩き、木を植えた。2004年よりは日本中を歩いて木を植えている。

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2006年に歩いた夏の大雪山での一枚。高山植物が綺麗でした。

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