千と千尋の湯殿!?シンガポールに現るド派手な仏閣・仏牙寺

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記事作成日:2017/06/15
高層ビルが立ち並ぶ国際金融都市シンガポール。その中でも中華系移民の集まるチャイナタウンに、今回紹介する仏牙寺はある。チャイナタウン中心部に堂々と聳える仏閣はビル群と対比して異色の存在感を放ち、それはまるでジブリ映画「千と千尋の神隠し」に出てくる湯殿そっくりだ。外観だけでなく内部も圧巻。仏陀の歯が収められているという純金の仏塔など、ド派手な仏牙寺の全貌をご紹介しよう。
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日本の技術が導入された仏閣の建築

出典元:藤井 麻未
仏牙寺(正式名称:新加坡佛牙寺龍牙院)は、1980年にミャンマーで発見されたという仏陀の歯を納めるために2007年に建てられた比較的新しい建物だ。聳え立つ仏閣は唐代の建築様式を踏襲したもので、なんとその建築施工には日本の業者が携わっている。また仏牙寺は幾重にも重なった瓦屋根が特徴的で美しいが、この瓦も奈良の石野瓦工が納入したという。仏牙寺を訪れたらまずは是非この瓦屋根を見てみてほしい。遠く離れた異国の地で日本の技術を目の当たりにできるというのは感慨深いものだ。

極楽浄土を模した煌びやかな内部

出典元:藤井 麻未
内部に足を踏み入れると、その巨大で絢爛豪華な空間に誰もが驚くだろう。仏牙寺は地下3階~地上4階建て、3000平方mにも及ぶ巨大寺院で、シンガポール政府の威信をかけて造られたものだ。その総工費は39億円ともいわれる。

莫大な資金をかけて建てられただけあって辺り一面金と赤に統一された大ホールのインパクトは強烈だ。正面には本尊の弥勒菩薩像と二体の仏像が燦然と輝いている。これらは高さ8メートルもあるというのだからその迫力はかなりのものだ。
出典元:藤井 麻未
そして更に圧巻なのが、ホールの両側にズラリと並んだ100体もの仏像。その仏像を取り囲むようにして無数の更に小さな仏像が並ぶ。遠くからは一見装飾のように見えるものの、近づいてみると夥しい数の仏像なのだ。これは寺院建立の際、小さな仏像を購入するという形で人々に寄付を募ったためだ。つまり寄付の口数だけ小さな仏像があるということになる。
出典元:藤井 麻未
一階には他にも如意輪観音像や不動明王など日本の寺院でもお馴染みの仏像が並ぶ。その色彩は鮮やかでどこかトロピカル。南国風であるにも関わらずなぜか落ち着くのは同じ仏教文化であるからだろうか。

仏教美術に触れる博物館や別世界のような空中庭園も

そして中2階には回廊が巡らされており、先ほどの絢爛豪華なホールを頭上から見下ろすことができる。巨大な本尊を上から見下ろせるというのもなかなか珍しい。2階は土産物を買えるショップ、そして3階は博物館となっている。

1階を見ただけで帰る観光客が多いが、実はこの博物館はなかなか見応え満点だ。仏陀にまつわる遺物などを展示して仏陀の一生を知ることができ、また各国から集められた各時代の仏教美術も展示される。様々な表情の仏像は、おもわずクスッとしてしまうものや繊細で美しいもの、なんとなくほのぼのした表情のものなど同じ仏像でも時代や作者によってこれほど多彩な魅力があるのか、と純粋に美術的な観点からも楽しむことができる。
仏牙寺には屋上がありなかなかの穴場となっている。周囲の喧騒から隔絶されるようにヤシやプルメリア、蘭などトロピカルな植物が茂る屋上には静けさが漂っている。観光客も屋上まで訪れる人は少ないので、観光ついでに緑の多い空中庭園で一息つきたいならもってこいの穴場だ。中心には仏閣が佇み、世界最大級ともいわれる巨大なマニ車が置かれている。一回転させればお経を読んだのと同じご利益があるといわれるマニ車。ついでに回してお参りしてみよう。

仏陀の歯を肉眼で見てみよう!

出典元:藤井 麻未
忘れてはならないのが、「仏牙寺」の名前の由来である仏陀の歯である。ミャンマーで発見されたという仏歯は4階のホールに安置されていて写真撮影は不可であるため、現物を肉眼で見るしかない。4階の聖なるホールでは仏歯が収められている金の仏塔がガラス越しに見られ、その眩さは普通ではない。上から下まで全て金。なにしろ420㎏の純金を使い国を挙げて最高のものを造らせたのだというから驚きだ。中に収められている歯も至近距離ではないが見ることができる。仏陀はこんな歯だったのか…!?それは実際に訪れて見てのお楽しみだ。
出典元:藤井 麻未
また面白いシステムがある。ホールにある金のコインを一枚$10で購入して奉納すると、それを仏歯の下に納めてくれるのだ。コインには名前を書くシールがついており、これに各自名前を書いて奉納してみよう。有り難い仏歯のパワにーあやかってお願い事が叶うかもしれない。

チャイナタウンの陰の歴史「死の家」について

また、実は仏牙寺のあるチャイナタウンのサゴレーン付近には、かつて貧しい中華系移民が死を待つための施設「死の家」があった。当時の移民の生活は困窮を極め、また狭い一部屋に何人もが共同で暮らしていたため病床にあっても静かに療養することなどできなかった。更に家から死人が出ることは不吉だとされていたため、このように死にゆく人々が入る施設ができたという。

といっても医師がいたりするわけではなく単に病人ががひしめき合って過ごすだけのことであり、そこに入るということは後に必ず死が待っているということを意味したのだという。寺院の横には「死の家」についての説明書きも立っている。眩い光を放つ仏牙寺は、チャイナタウンの一角で死んでいったそんな人々の霊を慰めるかのように建っている。

おわりに

2007年にできた比較的新しい寺院ということもあり、チャイナタウンの新名所ともいえる仏牙寺。金と赤を基調にし、特徴的な屋根瓦をもつド派手な仏閣はさながら「千と千尋の神隠し」に出てくる湯殿そっくりだ。まるでそこだけ異世界のような不思議な雰囲気を醸し出している。仏歯を納めるために国をあげて建てられた絢爛豪華な仏閣、それだけでなく仏教美術や仏陀の一生を学べ、そしてチャイナタウンの歴史の一面にも触れることができる。シンガポールを訪れるならぜひ立ち寄ってみたい。
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記事提供:Travel.jp
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