さて、今回は前回ご紹介したレーズン酵母でホームベーカリーBT-113を使ってパン作りに挑戦です。
まずは天然酵母食パンコースを使っての食パン作りです。
天然酵母の場合焼き上がりまで約7時間かかりますが、ホームベーカリーを使うとセットしたら焼けるまで機械が時間を管理してくれますので、家事をしていても、買い物に出かけても大丈夫なところが気に入っています。
天然酵母食パンレシピ
(1斤)
強力粉 250g
砂糖 10g(大さじ1強)
塩 5g(小さじ1)
元種 120g
(レーズン酵母)
油脂 15g
(無塩バター)
水 170cc
(国産小麦粉の場合は140cc)
作り方はいつもの食パンと同様に材料を計量してパンケースに入れ、、酵母は水と一緒に加えます。そして、天然酵母食パンコースをスタートするだけです。
本来パンというものはゆっくり時間をかけて発酵させてあげることにより、小麦の香りや酵母のうまみを最大限に引き出し、おいしいパンに焼き上がるものです。
家庭で本格的な天然酵母パンが、自動で焼けたときには本当に感激しました。もとはレーズンと水だけで起こした酵母がふくらんで、ふっくらしたパンに生まれかわったときは、子供の誕生のようにうれしかったものです。
天然酵母パンの長所はまず添加物がない、風味がよく酵母菌により日持ちがする(カビがはえにくくいつまでもやわらかい)、トーストすると耳がおもちのようにカリカリして香ばしく美味しいところです。楽しみながらゆっくりと、是非挑戦してみてくださいね。
食パンが上手に焼けたら、今度はカンパーニュ(田舎パン)にも挑戦してみましょう。
カンパーニュ(田舎パン)レシピ
(20cmのシンペル型1台分)
強力粉 270g
全粒粉 30g
砂糖 10g(大さじ1強)
塩 6g(小さじ1強)
元種 120g
水 160cc
(国産小麦粉の場合は130cc)
*好みでカレンツ(小粒のレーズン)やクルミなどのドライフルーツ100gをいれても。
(作り方)
【1】材料を計量してパンケースに入れ、天然酵母生地作りコースを選択、スタート。
【2】こね終了後、約3~4時間で2倍程度に膨らんだら、ガス抜き(パンチ)をして、1時間発酵する。(発酵時間はあくまでも目安です。気候によって変わります。時間は手持ちのタイマーを使って管理しましょう)
【3】一次発酵後、丸めてベンチタイム30分。
【4】生地を丸めなおし、粉をふったシンペル型に入れる。(シンペル型とは発酵かごのことです。なければボールに粉をふって代用できます。)
【5】二次発酵、約2時間。
【6】型いっぱいに膨らんだら天板にひっくり返し、クープを入れ、190度に予熱したオ ーブンで40分~50分焼く。
素朴なカンパーニュはお料理との相性もよく、ワインやチーズとともに味わうと最高です。1週間は日持ちします。
天然酵母は作ってから種継ぎせずに冷蔵庫で保存して2週間くらいまで使えますが、徐々に発酵力が落ちてきます。できれば1週間以内に食パンやフランスパンなどの大きめのパンを焼いて、それ以降は小型の食事パンや菓子パン、スコーンなどに利用するといいでしょう。
パンは、湿度や気温、酵母の活力によって日々膨らみ方が違います。時間がたっても膨らまない時は、2倍程度に膨らむまで充分待ってあげましょう。季節にもよりますが、発酵には4時間から10時間くらいまで幅があります。
パンの声を聞いて、ゆっくりと育ててあげることがおいしいパン作りのコツです。
2006年03月31日 (金)
つぼみたちがほころび始め、少しずつ春めいてきました。春は新しいことにチャレンジしたくなる季節ですよね。
実はこれからの季節が、家庭で一番パンが作りやすい季節なんです。
パンの場合水の温度管理が大切ですが、この季節は常温(水道水の温度14~15℃)でこねることが出来ますので、気軽にパン作りが楽しめる季節なのです。
ポカポカとお日様の日差しが出てくるこの時期、思い切って自家製酵母作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
酵母とはそもそも自然界に存在するもので、空気中、水の中、土の中などありとあらゆる場所に生息しています。イースト菌も自然界に生息する酵母の一種で、パン作りにむいている発酵力の強い菌を採取し、人工的に培養したものが市販のイーストです。このイースト菌が糖質を栄養にしてアルコールと炭酸ガスに分解し、パンを香りよく膨らませるのです。
私も四季を通してハーブや、果物、野菜などありとあらゆるものから酵母を起こしてきました。その中でも一年を通して安定して種起こしできるのがレーズンです。レーズンはそれ自体に甘みがあるため種起こししやすいうえに発酵力も強く香りもよいため、パン屋さんでもレーズン酵母を使用している店が多いのです。
時間は少しかかりますが、子供の成長を見守るような気持ちで、ゆっくりと楽しんで酵母を育ててみましょう。パンに対する愛着がわいてきます。
作り方は簡単ですが、あらかじめかびないように気をつけるポイントがいくつかあります。
それをきっちりと守ってくださいね。きっととびきりおいしい天然酵母パンが焼けるはずです。
■自家製レーズン酵母の作り方
準備:レーズン(オイルコーティングしていないもの) 100g
水(水道水の浄水) 300cc
※保存びんはあらかじめきれいに洗い煮沸消毒し、乾かしておく。
【1】保存びんにレーズン100gと水300ccをいれ、軽くふたをして暖かい場所(窓辺など)に置く。
(レーズンは水に浸しておかないとカビの原因になります。)
【2】3~4日するとレーズンから気泡が浮いてくる。1日に1回ふたを開けてかきまぜ、空気を入れてあげる。あふれる場合があるのでふたは軽く閉める。
(冬場寒い時期は5~7日くらいかかる。なかなか気泡が出ないときは、はちみつを小さじ1加え混ぜる。)
【3】ワインのような香りがしてきて、レーズンが完璧にうえに上がってきたら エキスの出来上がり。
(日数は気温により異なります。)
■生種起こし
【1】厚手のキッチンペーパーを敷いたざるでエキスをこす。
(この状態で冷蔵庫で2~3週間ほど保存出来る。)
【2】煮沸消毒したびんにエキス100cc、強力粉100gをいれよく混ぜふたをし、ホームベーカリーのパンケースにいれ生種起こしをスタート。
(約24時間のタイマーですが、途中様子を見て12~20時間くらいで2倍程度に膨らんだらOKです。)
【3】2倍程度に膨らんだら再度エキス100cc、強力粉100gをいれよく混ぜ、もう一度ホームベーカリーの生種起こしをスタート。
(約24時間のタイマーなので様子を見て2倍に膨らんだらOKです。)
これで元種の完成です!
その2では今回の元種を用いたホームベーカリーでの天然酵母パン作りを紹介します。
2006年03月23日 (木)
お菓子を学びにフランスをたびたび訪れるのですが、必ずといっていいほど朝は大きなボールにいっぱい注ぎいれたカフェオレをいただきます。
フランスのコーヒーは濃い目のフレンチローストなので、たっぷりのミルクととても合います。ちなみにパリではカフェオレのことをカフェクレームと呼びます。朝はカフェクレーム、昼以降はエスプレッソが基本です。パリに行くと、人々がバゲットなどをコーヒーに浸して食べている姿を、街でもよく見かけます。カフェオレボールがあんまりにもかわいいので、今では少しずつコレクションしていて、うちではサラダやスープにも使っています。
仕事や家事におわれる毎日の中で、ほっと一息つく一人の時間は、かけがえのないものですよね。私の場合それは、ほんの少しだけ早起きをして、一人でいただくカフェオレタイムです。 このごろは春めいて小鳥の声も聞こえるようになり、気持ちのよい朝のひと時を過ごせるようになりました。これだけでなんだか気持ちに余裕が持てて、一日がステキになります。
カフェオレにホームベーカリーで焼いたシンプル食パンを厚切りにし、バターを塗り軽くトーストして蜂蜜をかけていただくのがお気に入りの朝の定番になっています
2006年03月16日 (木)
毎年この時期になると、桜のお菓子が恋しくなりますよね。今年は桃の節句にパンとお惣菜クラスがあり、桜あんぱんを作りました。
あんこは日本が誇る豆のコンフィチュールだと、私は思っています。実はフルーツとも相性がよく、いちごやバナナ、あんずやキウイなどとよく合います。また生クリームやごま、バターなどを混ぜてパンのトッピングにすると、とても美味しいです。
今回は翌日でもしっとり美味しい白神こだま酵母を使ったパン生地で、桜あんを包み、桜の塩漬けをトッピングしました。
白神こだま酵母は秋田県の世界遺産白神山地で発見された酵母で、発酵力が非常に強く、イーストと同じタイムテーブルでお手軽に酵母パンが作られます。酵母が低温に強いので、一次発酵後の生地を冷凍保存でき、いつでも焼きたてが食べられるのが大きな特徴です。使用するときは3倍のぬるま湯で溶いてから使います。
桜あんは市販のものを使いましたが、しろあんに桜の葉の塩漬けを刻んで入れるだけで、とても風味がよく美味しい自家製桜あんが作れます。
桜あんぱん
材料(12個分)
強力粉 300g
白神こだま酵母 6g
ぬるま湯 18cc(酵母をとく)
砂糖 30g(大さじ3強)
塩 4.5g(大さじ1弱)
スキムミルク 15g
ショートニング 45g
全卵1個と水で 180cc
桜あん 600g(1つ50gに丸める)
ドリール(ぬり卵) 1/2個
桜の塩漬け 12個(水につけて塩抜きをする)
※ホームベーカリーSD-BT113を使用。
1:材料をパンケースに入れ、ホームベーカリーにセットし、生地作りコースをスタート。
2:15分のコネ終了後、そのまま一次発酵を45分とる。
3:生地を取り出し12個に分割し、それぞれ丸めてベンチタイム15分。
4:麺棒で生地を丸く伸ばし、あんを包む。
5:あんと生地の間に空洞が出来ないように指で真ん中にへそをつくる。
(指にサラダ油をつけ、しっかりと底につくまで指を差し込む。)
6:天板にクッキングシートを敷いた上にパンを並べ、二次発酵30分。
7:ぬり卵をぬり、180℃(余熱後)のオーブンで13分焼く。
8:焼きあがったらへそに桜の塩漬けをのせる。
*ドライイーストの場合は6gをイースト自動投入のパン生地コースで作ってください。
お花見にもどうぞ。
2006年03月09日 (木)
みなさんこんにちは。
アトリエ・フェーヴの飯田順子です。
私はお菓子・パン・美味しいもの好きが講じて、世田谷で教室を主宰しております。お菓子や料理を作るのも好きなのですが、もちろん食べるのも大好きなので、日々の暮らしの中で発見した美味しいもの、楽しいことなどを、あれこれアップしていきたいと思っています。宜しくお願いします!
さて、今日は私の教室「アトリエフェーヴ」についてご紹介させていただきます。現在毎月1回の季節のお菓子クラス、パンクラス、パンと惣菜クラスの3つがあり、教室名の「フェーヴ」とは、フランス語で「そら豆」のことをいいます。
お菓子・パン好きな方はどこかで聞き覚えがあるかと思いますが、フランスでは毎年新年に家族や親しい友達が集まって「ガレット・デ・ロワ」という大きなパイを切りわけて食べる習慣があります。この中にはいっている陶器の小さな人形が「フェーヴ」です。
古くは乾燥したそら豆を入れていたそうで、そら豆の形が赤ちゃん(胎児)を思わせるということから「生命のシンボル」とされてきました。その後動物や聖書の物語の登場人物などをモチーフとした陶器製の人形が入れられるようになり、現在ではさまざまなキャラクターやお菓子屋さんのオリジナルフェーヴなどが作られるようになりました。このフェーヴを見事当てた人はその1年を幸せに過ごせるという言い伝えがあります。そして、その日1日王様(王女様)になれるのです。
フランスでは1年の初めにこのお菓子を巡って大人も子供もおおはしゃぎになり、遊び心のある楽しい習慣です。近年日本でもたくさん売られるようになってきました。
そんな「幸運のシンボル」であるフェーヴが大好きで、この名前を教室名にしました。教室で楽しくお菓子を学んで、皆さんの暮らしに何かいいことありますように、ステキなひと時が過ごせますように、、、そんな願いをこめて名付けました。
2006年03月01日 (水)
飯田 順子
お菓子研究家。
結婚後、かねてから大好きだったお菓子の研究をスタート。専門書をたよりにお菓子を作り続ける一方で、パティシエによる講習会にも参加し、独自のレシピを開発。
1998年より料理教室を始める。丁寧な指導に加え、フランス菓子の歴史や文化を解説するレッスンは大好評で、生徒数は350人にも及ぶ。スイーツファンを集めて、都内の有名パティスリー巡りやフランスへのスウィーツ・ツアーを定期的に実現する一方で、自らもフランスのエコール・リッツ・エスコフィエやルノートル パリ校でフランス菓子について本格的に学ぶ。
2008年KARACUのディレクトゥールに就任し、商品開発を手掛ける。ケーキやパンなどに関する著書多数。2011年4月より自宅にてパン・お菓子教室「アトリエフェーヴ」を主宰。
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